在宅血液透析は家庭であなた自身が介助者の協力を得て血液透析を行います。ライフスタイルに合わせて家族との生活を大切に、充実した透析生活を送りましょう。
在宅血液透析とは
患者及び介助者が、医療施設において十分な教育訓練を受けた上で医療施設の指示に従い、一人に対して1台、ご自宅に設置された透析機器を用いて行う血液透析治療です。穿刺は自己穿刺を条件とします。
在宅血液透析のメリットとデメリット
メリット
- 生活スタイルに合わせ、自由に透析スケジュールを組むことができます。
- 時間的制約がないため、社会復帰(就業・家事・育児・趣味)が容易です。
- 透析施設に費やした通院時間や待ち時間がなくなります。
- 自宅で行うため、家族との団らんが増えます。
- 透析回数に制限がないため、十分な透析量は確保できます。
- 飲水、食事制限が緩和されます。
- 貧血、高血圧、血清リン値などの改善がみられ、薬の量が減ります。
- 透析不足による合併症のリスクが減り、生命予後がよい。
デメリット
- 自己責任、自己管理を伴う治療法です。
- 介助者やそれ以外の家族の理解と協力が必要です。
- 介助者とともに一定期間の訓練(知識と技術の習得)が必要です。
- 自己穿刺しなければなりません。
- 自宅に透析装置の設置場所と医療材料の保管スペースが必要です。
- 現在、重大な事故報告はないが、自宅での事故の可能性はあります。
- 金銭的な負担があります。
透析装置や医療材料は無償で借り受け、あるいは提供されますが、一部自己負担が発生します。
- 透析装置に必要な自宅改修費用(電気・水道工事)およそ5~30万円前後
※ご自宅の電気・水回り環境によっても異なります。
※市町村によって自宅改修費用として電気工事または給排水工事助成金が支給されます。 - 月の電気、上下水道料金およそ1~3万円前後です。
在宅血液透析を始めるには
下記の基準を参考にして在宅血液透析導入の適応を考えます。
- 本人の強い希望があること
- 介助者が確保され、同意していること
- 介助者以外の家族も協力的であること
- 教育訓練を受けることができること
- 教育訓練の内容を習得する能力があること
- 安定した維持透析が実施されていること
- 在宅血液透析実施の上で、支障となるような合併症がないこと
- 透析を実施する部屋や材料の保管場所が家庭内に確保できること
在宅血液透析開始までの流れ
- 初回面接はご本人・介助者の意思を確認させて頂き、在宅血液透析についての説明を行います。
- ご自宅の下見訪問は看護師、臨床工学士、医療機器卸業者、薬品会社、配送業者と水道・電気業者で行います。ご希望される機器設置場所の確認やアドバイス、機器設置に伴う給排水・電気工事の説明を行います。また配送会社と顔合わせも行います。
- 在宅移行訓練は施設透析を行いながら約3ヶ月を目標に、その間に知識、技術を習得してもらいます。訓練期間は個人差があります。
- 判定審査で問題なければご自宅の工事、透析装置搬入し在宅血液透析開始となります。
- 初回は看護師、臨床工学士が開始から終了時まで立ち合い、問題ないかを確認します。
- その後は月に一度、ご自宅に看護師、臨床工学技士が訪問し手技の確認や疑問や不安等の相談、機械の点検を行います。
- 在宅血液透析中の問題は24時間電話対応しています。
- 外来受診は月に1~2回、診察、血液検査等、必要であれば造血剤等の注射を行います。
当院では2012年より在宅血液透析開始し、現在17名の患者様が行っています。
在宅血液透析開始1週間~10日で、「身体が軽い」、「一日中動ける」、「下肢のだるさがなくなった」、「頭がスッキリしてクリアになった」、「口の苦さがなくなった」、「食の嗜好が変わった」、「何でも美味しくなった」等々 (患者様の声より)
在宅血液透析災害対策
災害教室 年1年回開催
災害時のしおりをもとに実際の対応等を行っています。
在宅血液透析患者交流会
年1回開催
在宅血液透析を希望される方、もっと詳しく知りたいという方は、お気軽にご相談ください。
医療法人博文会児玉病院 在宅血液透析担当者まで TEL.073-436-6557
※「在宅血液透析管理マニュアル」(2010年2月、日本透析医会監修)から
http://www.touseki-ikai.or.jp/htm/07_manual/doc/20100226_zaitaku_touseki.pdf